小さいころになりたかったもの 本の山の小さな窓から②

どうしたら、
人とかかわらないで生きていけるだろうか?

どうしたら、
人と話をしないでも生活ができるだろうか?


小学生の頃は
本当にそれを一生懸命考えていました。


そして、
私が得た結論、
わたしがなりたい職業は「貸本屋さん」でした。


本屋さんではなくて、貸本屋さん。

本屋さんって、
新しい本が入ってくるし、
いろんな人が来るから話をしないといけない。

人が来ない貸本屋さん。
小さい頃、私が住んでいた町には古本屋さんや貸本屋さんがあって、
古い本の匂いが大好きでした。

雑多に積まれた本を
一日中、誰にも邪魔されず読むことができる。


バリケードみたいに渦高く本を積んで、
手元だけ見える程度の小さな窓を作って、
人と話さなくて済むように、どの本も1冊100円。

一日に300円あれば、

朝昼晩、パンを食べて生きていける。


子どもながらに、
それなら生きていけるかもと考えました。

その中のイメージの私は、
いつでもおばあさんでした。

本当に、本気でそんなことを考えてました。
どうやったら貸し本屋さんになれるだろう?



やがて、
大人になって
嘘のような出来事でまさかの会社に就職して


そしてそれから
いろんなことがあって、
40代から少しずつしゃべれる私になっていきました。


それでもまさか
自分が、本に囲われる方じゃなくて、
本を出す側にまわるとは本当に夢にも思わなかった。

それでも

やっぱり、
古本屋さんで、本に埋もれて
誰とも口を利かず日々を過ごすことは、
今でも変わらず憧れです。